日本商業教育学会 会長

西村 修一

(千葉商科大学 教授)

雲英道夫先生を初代会長として平成の幕開けとともに創設されました本学会は、その後、河合昭三先生、山田不二雄先生、清水希益先生、岡田修二先生、中澤興起先生、そして永井克昇先生が順次会長を務められ、会長をはじめ学会員の皆様方のご尽力に発展してまいりました。この度、このような本学会の会長職を託されたことの重責を強く感じております。
2021年1月に、「「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、 個別最適な学びと、協働的な学びの実現~」と題する答申が、中央教育審議会から示されました。
この中で、専門学科改革については、地域の産官学の関係者が一体となり、専門高校段階での人材育成の在り方を整理し、教育課程の開発・実践を行うことが必要であることが示されています。このことは、商業教育でこれまで取り組んできたことの方向性に間違いはないことを示唆していると考えられます。
また、普通科改革については、「地域や社会の将来を担う人材の育成を図るために 現在及び将来の地域社会が有する課題や魅力に着目した実践的な学びに重点的に取り組む学科」の設置が一つの例として示されています。ここで示されている学びは、これまで商業に関する学科が先進的に行ってきたものであり、中央教育審議会が意図したかどうかは別として、暗黙のうちに商業教育を高く評価しているものと捉えることができると思います。一方で、商業教育が先陣を切って取り組んできたことを普通科で取り入れようとしていることから、商業高校や商業に関する学科は、このままでは学科の特色が薄れ、存在意義を問われることになりかねません。
商業教育は、生きたビジネスを学ぶ教育です。経済社会が常に変化し、そこで求められる人材も変化することから、進化の歩みを止めた瞬間に時代に取り残されることになります。商業教育に完成形はありません。常に過渡期です。リープフロッグ現象における飛び越えられる側に例えられることがないよう、常に先を走り続けることが求められます。そのために重要なことの一つは、商業教育に関する理論的、実証的研究にあると考えます。本学会は、大学で商業教育を研究されている先生、高等学校で商業教育を実践されている先生、産業界で活躍されている方などで構成され、研究成果の共有、協働での研究などが行われております。あわせて、商業科教員の養成の在り方についても協議することができます。このような研究団体は他にはないものだと思います。本学会が果たすべき役割はますます大きなものになっていると感じています。
商業教育に関する理論的、実証的研究などを通して商業教育の発展に寄与するという本学会の目的を遂行するために、学会員の皆様をはじめ、多くの商業教育関係者のご支援、ご協力をいただきますよう、お願い申し上げます。

 

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